誘拐され、中国農村に嫁として売り飛ばされる女性の映画「盲山」。国際版のエンディングも見ました。

2007年公開のこの映画。

存在はちょっと前にネットで知りました。

子供の誘拐の話「親愛的」の紹介をしたブログのコメントに私へのお勧め映画としてこの映画

の名前を見た時、ドキリとさせられました。

その時まさにこの映画を見ていた時だったからです。

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当時の中国社会の闇を描いた映画「盲山」

中国では子供の誘拐もありますが、

大人、若い女性の誘拐も割にあります。

若い女性が農村の嫁としてさらわれる、という噂は

ここ中国で本当にありうる話なのです。

※以下、ネタバレあり。

映画観たい方は百度などで「盲山 电影」と検索してください。

盲山

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卒業したての女の子が騙されて山奥の農村へ

舞台は90年代終わりの中国西北部の僻地。

就職難で仕事が見つからない女子学生。

ようやく仕事が見つかり、仲間とともに山奥へ。「薬草を探しに」という名目で騙されて連れて行かれます。

盲山

右が主人公の白雪梅。左2人が人身売買ブローカーです。

農村に着くと、2人は薬草を探しに行くのでここで待つように、と主人公を置いていきます。

睡眠薬を飲まされたようで、雪梅は一軒の農家で休みます。目覚めると既に仲間は立ち去った後。

慌てて仲間を探すも、名刺も財布も身分証もない。

お金はまだしも、中国では身分証がないと飛行機や新幹線にも乗れませんし、ホテルにも宿泊不可。銀行口座の開設や携帯電話の購入、ネットの回線など何かにつけて手続きで必須のもの。街中で職務質問されて出ないと最悪拘留ものですし。中国で身分証がないということは大変な困難に直面します。

売られた女の子

盲山

そして驚愕の事実。

あなたの家族はあなたをウチの息子の嫁として売ったのよ!!

その額7000元(11万2,000円)。驚愕過ぎます。

その晩、早速結婚式が執り行われます。
当然雪梅は抵抗しているので、縛られて部屋に監禁されます。

村総出のグル。抵抗・逃亡も全て無駄。

何度か逃亡を図るも捕まります。

盲山

村の幹部に訴えるも

幹部「騙されて誘拐されたとどう証明できるんだ?身分証は?」

雪梅「盗まれてありません。」

じゃあどうしようもない。さぁ、帰った、帰った。

という感じです。村の幹部もこの村の嫁に売られて来てる女性がいるのを当然分かってます。グルです。農村の闇ですね。

「子供ができたら逃げられない」とばかりに、嫁姑も加担し雪梅はレイプされます。言葉をなくすほどのひどさです。

絶望した雪梅は自殺を計り病院へ。

その治療でなんて金がかかる嫁だと文句を言われます。

態度が悪いと殴られることもしばしばです。

盲山

その後、姑の計らいで同じくここに売られて来た女性・郑小兰(蘭)と友だちになります。

この雪梅の絶望の表情・・・

※この女性、郑小兰(蘭)については最後衝撃の事実が判明します。

彼女も逃げようとしたけれど全て失敗に終わり、子供もできたのでもうこの運命を受け入れるしかないと諦めている様子です。

自分がいなくなって心配している自分の両親のためにもまずはここで生きて、逃げるチャンスを伺ったら?とのアドバイスに、雪梅はここで生きる決心をします。

髪を短く切り、ここの農村の既婚女性が着る赤い服を着て家事や農作業を手伝いだします。

盲山

雪梅は村の小学校で教師を務める義弟に助けを求めます。

義弟は大学を出た学がある義姉を尊敬し、本を貸したりもし、お互い淡い恋愛感情も生まれます。

それもその後ばれて暴力沙汰に。

お前は雪梅に支払った金を払えるのか?

と迫られ、義弟は村を追われます。

そして妊娠

盲山

その後、雪梅は妊娠。

学費が払えなくて学校へ行けない子供たちの為に自宅で勉強を教えます。

これまで雪梅は何回か自宅に配達に来る郵便配達員に手紙を託していました。

切手の代金は支払えないので、後で必ず払うので、とお願いして。

でもそれはさすが村社会。配達員は手紙を夫へ渡していました。

しかし教え子が手紙を出してあげる、と、機転を利かせて他の郵便局へ手紙を出しました。

その後子供が生まれます。農村ですので自宅出産です。

産まれた子供は男の子。ジジババ&亭主大喜び。

姑は喜びせっせと孫の世話を焼きます。

ある日警察が乗り込んできた

盲山

ある日、警察が雪梅の自宅にやって来ました。

雪梅の父も一緒です。手紙が届いたのです

盲山

姑は孫だけは渡さまいと必死。警察からも「子供は連れていけない」と言われ、子供は置いて雪梅は警察の車に駆け込みます。

この警察の見解、ありえませんよね。乳飲み子を母親から引き離すなんて・・・。離婚時に子供を夫側が引き取るというのは中国では割にある話ですし、農村の男の子=跡取りという背景もあるのでしょう。

盲山

騒ぎを聞きつけ、村人総出で警察車両を取り囲み、雪梅奪還をしようとします。

警察が人さらいをしているぞ!!

これは俺の嫁だ!!

他の家の嫁も買われてるのになぜ俺の家だけ?

と全くもって道理がないセリフが飛び交います。

盲山

村幹部の元へも村民が押しかけ収拾がつかないため、ここでいったん雪梅は自宅に戻る事に。

3日以内に必ず来る、と警察は言い残します。

そして3日後。今度は警察も多くの車と人員で村に乗り込んできました。

雪梅だけでなく、他にさらわれた嫁のいる家に警察が入り、次々に女性を救出するのですが、

子供は連れて行けません。

雪梅の友だちの小蘭。雪梅と一緒に逃げて警察の車に乗り込むも、我が子と別れる事の辛さに耐えきれず、車を降りて村に残ることを決めます。

盲山

両親に私がまだ生きていると伝えて

盲山

中国公安は女性の誘拐、人身売買という犯罪に厳しく対応しており、これまで多数の誘拐された女性を救出、犯罪グループを捕らえてきた。

とのテロップ。これで終了です。

この映画のリアルさと小蘭の驚愕の事実

この映画、主人公の雪梅を演じる女優以外は全て、ロケ地の人を使っている映画です。誘拐があった村で住民が協力してこんなテーマの映画が撮れるものですか?びっくりします。

なので、映画の雰囲気はまさに中国の僻地の村そのもの。

飾りっ気のない村民たちがこの映画のリアルさを醸し出します。

監督の李楊氏はこの映画の作成の為に実際に誘拐され売られた女性にインタビューをし、膨大な資料に基づき数ヶ月かけて台本を執筆。

その為、この中の話はかなり事実に近いです

監督がこの映画を作るきっかけになったのは、誘拐され売られた女性がこの生活から逃げる為に夫を殺害した事件があったのですが、この女性に対し死刑判決が出たというニュースに衝撃を受けたから、との事。

彼がこの映画を作ったのは当時ありふれた話だった女性の誘拐・売買を全面的に世に問う事が目的でした。

と、映画について調べていたところ、衝撃的な事実が

映画のストーリー解説の中で出てきた、雪梅と同じ境遇の友人、小蘭。最後は村に残る事を選択しますが。

この小蘭演じる女性自身、実際にさらわれ売られた女性だったのです。

映画の公開は2007年。まだ10年経っていません。

(※元ブログは2015年4月28日更新)

そして日々中国のニュースに触れていると出てくる、若い女性の失踪の話…。

中国農村の「闇」を思い知らされます。

「盲山」には海外版と中国版があり、ここで紹介したのは中国版。2つのバージョンでエンディングが異なっており、中国版は公安の活躍を称える内容になっているんだそうです。海外版のエンディングの詳細を知りたいのですが、まだ探しあてていません。

「盲山」海外版(オリジナル版)のエンディング

ついにネット動画で海外版「盲山」のエンディングを観ましたので追記です。「国際版と中国版はエンディングが大きく異なる」との話でしたので、映画が終わる15分ほど前から観ました。

雪梅の父親が助けに来て、警察が「村が騒ぎになったので3日経ったら来る」と言って出て行きました。

ここまでは中国版と同じです。

ただ、海外版では雪梅の父親も一緒に村に残りました。雪梅の夫が迎えに来ます。当然ながら父親は全く村人と相いれない立場です。「帰せない」と言う父親と雪梅の夫は対立し、夫が父親を殴ります。

もみ合いになる二人、止めに入る雪梅。雪梅の力では止められません。近くにあった中華包丁を手にとり、夫を切りつけます。茫然自失となる雪梅。

エンディングロールが静かに始まります。

このエンディング、まさにこの映画の監督が「盲山」を撮影するきっかけになった事件そのものでした。

1994年、中国東北から珠海に出稼ぎに来ていた22歳の女性が騙され、広東省の農村へ3000元で売られ、その農村の49歳の男性と結婚させられた。女性は言う事を聞かないため、夫は兄嫁と一緒になって女性の暴力をふるった。女性は交番に助けを求めるも、相手にしてもらえず。しかし村人は女性が買われたとは認識していた。何度か逃走を図るも村人に捕まり暴力を受けた。95年,97年に女性は子供を出産し、平穏な日々を過ごそうと思うも、兄嫁からのいじめを受け続けた。

98年9月、女性は下校中だった兄嫁の二人の子供を含む7人の小学生に硫酸をかけ、うち3人に重傷を負わせた。99年に出た1審判決では女性は死刑の判決だったが、この身の上が情状酌量となったこと、また子どもたちのケガの程度も鑑定のやり直しがあり、重症1人となったことで2審では死刑は執行猶予になった。

情報ソースから筆者まとめ

この事件をきっかけに中国では注目されてこなかった女性や子供の誘拐・人身売買がクローズアップされました。

また、この事件の一審判決に衝撃を受けた映画監督が「盲山」の作成をしました。この事件の加害者である女性も裁判の席で「これ以上、このような不幸な女性が出て欲しくない。」訴えたとのことでです。

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